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涙の先にあるもの

2009–02–23 (Mon) 21:19
「チェンジリング」

原題: CHANGELING 製作年度: 2008年
監督: クリント・イーストウッド 上映時間: 142分

「ベンジャミン・バトン 数奇な人生」

原題: THE CURIOUS CASE OF BENJAMIN BUTTON 製作年度: 2008年
監督: デヴィッド・フィンチャー 上映時間: 167分

「マイ・ブルーベリー・ナイト」

原題: MY BLUEBERRY NIGHTS 製作年度: 2007年
監督: ウォン・カーウァイ 上映時間: 95分


イーストウッドはありのままの物語を提示しながら、いえ、ありのままでありたいから、ある種の物語的答えを出そうとはしないわけで、その中で生死についての描写ってのは決定的な何かになってしまうことを知っていて、しかし、そのことに慎重であるどころか、映画の中での結論などというものは問題にならないということを難儀もなく説得してみせるのです。

つまり、ミリオンダラーでのイーストウッド自身はもちろん、パーフェクト・ワールドのケヴィン・コスナーでさえ、はっきり撃たれながらも、まるで生きているかのような彼にわれわれは困惑さえしてしまうのです。

しかし、これまで同様に絶望・悲しみの裏返しから新たな何かを観客に与える型…であるかと思いきやチェンジリングでは、そこの過程も映画内に取り込み、あっさりと「希望」を口にさせる。
(最期の過程が異なっている、というよりは、涙に濡れた瞳しか見せないアンジョリーナ・ジョリーが最期に微笑を見せるのですから、むしろ、“全く逆”と表現したほうがよいのかもしれませんが)
よくよく考えてみれば、息子が猟奇殺人者に誘拐され、戻ってきたのは別人・・・どうあってもサイコスリラーか犯罪サスペンスかのようなプロットから、あっさりと人間ドラマも犯罪サスペンスも法廷ものの香りさえも匂わせながら、全てを横断してしまってるわけで。
その果てにさらに、喜劇も悲劇といったジャンル的言葉でさえも曖昧に消し去った上に、ここまで観客を引きつけてしまうこの作品の存在自体に未だに信じられずにいるのです。


……


というわけで、チェンジリングのあとにベンジャミン・バトンを観るってのはどうあっても誤った判断でありました。

たとえばフィンチャーの画の色とかもとってもいいのですが、チェンジリングのあとじゃ…
とか、うんうん、映画って普通はこうだよねってどうしても思ってしまうという。
うんうん、これだけ詰めれば167分なるよね、フィンチャーがチェンジリング撮ったら3時間越えちゃうよねとか。
早い話、火の鳥宇宙編だよねとか、失敬なことさえ頭によぎってしまう始末。


っつーか、こんなものを作っときながら、まだ数ヵ月後に「グラン・トリノ」というまた傑作のニオイプンプンの新作公開が待っていて(これはジャンル映画みたいでそれはそれでまた楽しみで)、ベンジャミンの上映前のコマーシャルにでるわけですよ?
殺す気ですか?というw


ってここまでいっときながらもはや取ってつけるしなないのですが、チェンジリングがやばいっていっぱい言いたかっただけで、ベンジャミンももちろんおもしろかったです。


映画とはフィルムの最初から最期まで、光に当てられる時間だけが唯一であって、物語内の時間なぞ誰も保証するものではないこと、おそらくこの映像の宿命と「ベンジャミン・バトン」の物語とは無関係ではなく、だから観客は物語の時間軸を"普通には”共有できないベンジャミンに刹那さを感じるのです。
フィンチャーの描く細部はくどく感じたりもするのですが、その末にやってくるものってのは決して悪くなくって、これからも楽しみにさせてくれそうな人であります。


………



ゼア・ウィル・ビー・ブラッドも基本同じなんだけど、つまりブルーベリー・ナイトのおもしろさってのは「ある人数以上になれない」ってところなのです。
ゼアブラは、信頼する人を求めるダニエル・デイ=ルイスはしかし結局、「3人以上になれない」という、彼の自分しか信じられなささの表象がバツグンに絶妙でおもしろい。
ブルーベリーではそれに"男女2人”になれないっつー縛りがかかってて、また2人になれる条件をウェイターと客(癒す者と癒される者)でカウンター越ならいいですよということになってて、その構造の上で2人というふらふらしたバランスで疾走していくのがサイコーですね。


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