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団地ともお 10巻

2007–10–01 (Mon) 03:04

出版社: 小学館 (2007/7/30)
ISBN-10: 4091813674
ISBN-13: 978-4091813671
発売日: 2007/7/30




マンガの発売日に関してはホントにズボラですから、最新刊、また2ヶ月も気付いてなかったデスね。。。(恥



「団地ともお」のジャンルって何なんでしょうね?
一話完結型の家族もの~学校もののコメディorギャグ漫画ってとこでしょうか。
 
読んでてジャンル的に似ているなって思うのは「浦安鉄筋家族」(wikipedia)。
小学校2年生の元気まるだし大沢木小鉄とその友人・家族が、どたばた喜劇を繰り広げるギャグ漫画。

この2作には笑いの型も共通しているところがあるように思います。
日常ではなかなか起こり得ないような最終目的的なシチュエーションを設定しておいて、そこに行き着くまでの“動き”で笑わせる…って書いてもよく分からないでしょうけど…

「浦安鉄筋家族」でこの型で笑いをとる典型のキャラクターは春巻先生。
小鉄の小学校の担任。
ブルース・リーをパロったキャラの春巻先生は超貧乏なのですが、頻繁に自宅監禁の餓死寸前の状態で発見されるんです。
監禁といっても誰かに閉じ込められるわけでもなく、たとえばあまりに家の中が寒いために暖をとろうとした結果、不幸が重なり風が吹けば桶屋が儲かる的に(この表現違うかしら?)自ら家に閉じ込められてしまうんですね。
で、春巻先生が何故、監禁状態に陥ったのか(最終的なシチュエーション)を春巻のコミカルな“動き”で見せるわけです。


「団地ともお」でもこれに似た手法が―部分的で変則的にしろ―しばしば使われていて、たとえば9巻のダンボール坂滑りの回だとか、10巻では「おやすいごようだともお」の回。
ある女の家庭を奪ってしまった男が、彼女の残していったものを使って償いをしようとしている。
彼女に直接何かをしようというわけでもなく、ただただ自己満足のように彼女の残した毛糸玉で手編みをする。
一方、偶然にも小学生たちに大人気の“スポーツ大佐”の顔が織り込まれた手編みを見たともおは、なんとしてもそれを手に入れようとする。
男とともおの闘いが繰り広げられるが、実のところお互いの思惑は全く相違している。

だが、思惑の異なる彼らの闘いは絶妙の“動き”のコンビネーションを見せ、思わぬ、しかしまるで意図されていたかのような最終的シチュエーションを生み出すんですね。


(たぶんこの手はたとえば、何かの理由で廊下を走ってる男と、曲がり角の向こうから歩いてくる女がぶつかってキスをしてしまう(「きまぐれオレンジ☆ロード」1巻とか…って古っ)、というような型で以前から使われてるんじゃないかな。)



というわけで、「浦安」・「ともお」ともに“動き”で読む者を笑わせてくれるのですが、一方で同じ手法でも使われ方が違います。

「浦安」での春巻先生とはイコール貧乏、イコール遭難というキャラづけがされています。
それは“遭難”というイベントがドリフ的なマンネリであることに、ある種のネライが置かれているからでしょう。
そして、遭難に到る経緯、場所などをどんどん替えていくんですね。
次は如何に新鮮で凄い遭難をさせてやろうか、という作者の意気込みを感じます。
だけど、“新鮮で凄い”ことを繰り返しているうちに、描かれるのはだんだんその過程のディテイルの細かさや、規模の大きさに繋がっていってしまいます。
今回は、自宅監禁だったから、次は富士山遭難だ!という具合に。
この規模が大きくなっていく現象は実は少年漫画にありがちな、どんどん強いやつが現れる「ドラゴンボール」方式(荒木先生論ですけども)なんだと思うんですよね。
これを繰り返すといずれ行き詰まりがくる。
そしてディテイルが細かくなると、話の勢いが弱まり、説明調になってしまう危険を孕む。


「浦安鉄筋家族」は1993年から始まり、今でも続編の「元祖!浦安鉄筋家族」が連載中です。
ボクはたしか20数巻まで買ってたっけかな?
今は読んでないのでどうなってるかは分かりませんが、少なくとも読んだ限りでいうならおもしろさのピークは4巻あたりだったと思っています。
初期のディテイルはほどほどに、しかし圧倒的な勢いがあったころが好きでした。



さて、ちょっと話がズレつつありますが…

振り返って「ともお」なんですが、キャラクターに関して“春巻=遭難”のような外部的キャラづけは緩く、生み出される最終シチュエーションは―場所こそ日常の範疇なのに―いつも予想外。

キャラとシチュエーションのバリエーションとバランスの良さがあるから、「浦安」で陥りがちであったどんどん強くなる現象も回避され、過程のディテイルに力を奪われることがないですねー。

あと、2作のもう一つの違いは、「浦安」は“状況の積み重ね”にコマの大半が費やされるのに対して「ともお」は“エモーションの積み重ね”はしつつも“状況の積み重ね”には極力コマを割かない(特にページを超えたコマ配置にしない)、というところにもあるでしょう。

春巻先生が遭難するパターンでは、だいたい最初の1ページくらいが話の起となり(春巻先生が餓死寸前で発見される)、そこから過去に遡って餓死状態に陥るまでが残りのページに使われる。
火を焚こうとして→ライターに火を点けると→引火してしまって→消化しようとマットでばしばしたたいてたら→指が箪笥の角にあったって→突き指して手が使えなくなる→…省略…→家に自動的に鍵がかかっちゃって→でも両腕が折れてて開けれない→監禁状態成立
(浦安のコミックが手元にないのであくまで“例”ですけども) 
といったようにシチュエーションの積み重ねにコマの大半が使われるんですね。

一方、「ともお」の“おやすいごようだともお”の回(全8ページ)。
物語の起、女につぐないをするために男が公園で編み物を始めるまで、が3ページ。
ともおたちが編み物を発見して闘う場面が約4ページ半。
で、この4ページ中、シチュエーションの積み重ねが起こるのはラスト1ページだけなんですね。
それまでの3ページでは男とともおが闘い、男は「簡単に渡してたまるか」という思いが、ともおには「大佐マフラーが何としてでも欲しい」という思いが、読者にはこんな馬鹿げた…という思いとともに、でも先の読めない高揚感が高まってはくる
のですが、しかし、この3ページ中では未だに“マフラーが男によって公園で編まれている”という状況は変わらないままなのです。

そしてラスト1ページで一気に状況が積み重なり(この1ページってのが大事)、
ともおがよしのぶをごろごろ転がして→そのまま腹に毛糸マフラーを巻きつけて→ともおが余ったマフラー部分をはさみで切り→よしのぶが腹のマフラーを安全ピンでビシッと留めつける!→男とともおたちは満足そうにそれぞれ別の道を歩いてゆく…

コマにしてわずか6コマ。
感情だけを高ぶらせておいて、最後に到ってシチュエーションを一気に積み重ね、高ぶった感情をカタルシスさせるんですねぇ。
たぶん、いかに状況説明の省きをするかってのに相当の労力を費やしてるんじゃないかと思われます。

コンクルージョン
・「浦安」ってのは状況の積み重ねの過程一つ一つでその都度笑わせるのだが、情感としてはその都度ぶちぶち切れて、その物語通じての高ぶりってのはあまりない。逆に言うと、笑いはブチブチ切れてるから、“シチュエーションの積み重ね”が引き伸ばされてても、さほど苦(冗長)に感じない。
・「ともお」は逆で、状況は細かくぶちぶち切って積み重ねない、が、そのことによって感情の昂ぶりを促す。


……


まー散々書いた末に何ですが、結論としてはどっちも好きですw。
「浦安」にはマンネリズムから生み出される“安心の笑い”がある。
つまり、これは笑わせてくれる漫画だ、だから安心して笑いっていい、という安心感の中で安直に笑える。どこでも手軽に読める。
「ともお」には笑いの安心感はない。
どこに着地しようとしてるか分からないし、着地を見たとしても「今、何が起こったのだ?今のは笑っていいのだろうか?」という、ある種、超越した何かさえ感じさせることがしばしばある。オレは心を座して読まなければならない。


(ちなみに全く関係ないけども黒沢清によると怖い場面は極力、怖くないようにつくるのがミソらしい。
作り手が怖いだろう、怖いだろうと意気込んでつくる映画は確かに怖いが、それは“安心の恐怖”なのだそうだ。)


以前にともおは小津映画だ!って興奮しながら書いた覚えがあるけども、まさに上記の意味でも「ともお」は小津映画で……「浦安」は山田洋二映画ってとこかしらw


まーそんなわけで、結局言いたかったことは10巻目でも全く勢いを失っていなくておもしろかったと。
特に秀逸なのは“想像した者勝ともお”でしたと。

それだけなんですけども(笑




と、ここまで書いて、以前のともおの自分のレビュー読んだけど…我ながら何言いたいのか意味不明っすなw

たぶん、この作者は構図だとか画のイメージから入る人なんちゃうか、っつーことなんでしょうね。。。


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