スポンサーサイト

--–--–-- (--) --:--
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

The Far Country

2008–10–06 (Mon) 16:13
「シャッター」

原題: SHUTTER 製作年度: 2008年
監督: 落合正幸 上映時間: 90分


「おろち」

製作年度: 2008年
監督: 鶴田法男 上映時間: 107分




ええ、R・ダウニー・JrやらA・ジョリーやらが何だってんですか。

パコだっておくりびとだって観たくはありますょ、そりゃ。



しかしそれら強豪勢を華麗にスルーして、はるばるバイクで1時間かけて観てきましたよ。
「おろち」「シャッター」




シャッターで不思議だったのは、冒頭の主人公夫婦の日本新婚旅行あたり。
富士山とか、観光スポット背景で記念写真を撮るのだけど、めっちゃ違和感のあるショット。
当然、2人と富士山には超絶距離があるわけだけど、ピントがどっちにもバッチリすぎるほど合っててまるで合成かGCかっつー違和感なんですよね。
特に気にすることもない些細なことじゃんっつえば、そうなんだけど、しかし、全編を通して明暗具合がよろしい画なのにあっこだけの異質感というか異化されてる感が何だったのかひっかかるんですよね。


ま、それはいいとして。
よくある低予算B級映画だったょ、と捨てるにはおしくって、たとえば奥菜恵が車に轢かれるシーンだって、しっかりと迫力を伴って“轢かれて”いて、しかも、たぶんCGではなく人形で実写している。
この本気さは見逃しちゃいけません。

写真をパラパラ漫画にして霊を動かすとか、めくっていく瞬間瞬間に緊張が生まれるアイデアでおもしろいじゃないですか。


奥菜のお母さんが葬式拝むアップとか信じられないインサートなど、人間が映ってるとこではがっかり部分はありつつも、力のこもった映画だと思います。


しかし、奥菜さんはつかみにくい女優さんですね。
すごくどこにでもいそうな、影の暗い霊っぷりをみごと出してるのにかかわらず、そして彼女自身そこまでケバかったり、個性がありそうでもないのにもかかわらず、どこかで「あ、奥菜恵だ」感が残ってしまうところがあるんですよね。
(演出というよりも彼女自身の何かだという気はしますが、世代の問題、はたまた観る側の国籍などによって表出しないものでもあるのですが。)
リングなどのJホラーの霊ってのは不特定な部分が怖いってのはひとつあって、過去を調べていくうちに不特定な霊が特定されていって、それがストーリー的なおもしろみをあたえるのでして、つまるところ「シャッター」は怪談のサスペンス調の変形であるのですが。(怪談の多くは、まず霊の生前の死んだ原因があって、そこから原因の先に向かう。)
おそらく、怪談の罪と罰という構図ながらJホラーなサスペンスという意識は作り手にもあるだろうし、それもあってか夫への罰が終わったときの扉がしまって「じゃ~~ぁん」っつーのは明らかにゴシックであるわけです。
その怪談の構造を逆にしたからには、彼女のパーソナルさってのは非常にキケンな存在ではなかろうかと思えます。

と、いいながら、あの“怒っててもぷんぷんって乗りで恐いっつーか、やっぱりかわいいじゃん”的な彼女の顔と、彼女の顔が隠れているとき(から顔が今にも見える瞬間)のギャップの恐怖がコレキタわけなんですけどもw。







おろちは評判どおりおもしろかったですねー。
ヤバかったですねー。

なんかウォンテッドとかアイアンマンとかの感想を見聞きすると、「スルーしたオレ、勝ったゼ」なんて意味フにニヤリとしてみたり。
いや、まだぜんぜん公開してるから観にいくかもしれんのだけど。


狂気と恐怖がここまで見事に同所している映画はひさびさに観ました。
過去を振り返れば「何がジェーンに起ったか?」などと挙げてみることもできるのですが、それにしたってこの狂気っぷりはなかなかない。
「黒い家」が、大竹しのぶという俳優によって狂気・恐怖が両立したのなら、「おろち」は演出によってそれを達成している。
その意味で、やはり鶴田さんのスゴさをまざまざと見せ付けられたというしかないでしょう。

画面の色や、カット割りなどいろいろな丁寧さから、それは生まれているのだけど、特にこの映画に特徴的なのは人の配置、構図でしょう。
高橋洋好みの、といってしまえばそれまでなんですが、つまり「リング0 バースデイ」の貞子が殺されるショットで突如湧き出す異質感が90分の間にいくつ繰り返されることか!
しかもその異質さに伴いがちな“わざとらしさ”(つまり黒沢清が先日言っていたもの)は、観客には絶妙な演出によって巧妙に隠されている。
(巧さといえば、まったく別な姉妹のエピと、おろちのエピをダレなくいっしょくたにしてるのもスゴい)

「なぜだか、分からんが必要以上に怖えーッ!!」

ってなことになるわけです。
この恐怖は人間の狂気からくる以上の、何か直接的な恐ろしを孕んでいるはずなのです。




サッシャ・ギトリの「あなたの目になりたい」で、はすみさんがイマジナリーラインの破壊についてお話ししました。
イマジナリーラインとは2人が会話しているシーンを、2人おのおのの右顔←→左顔で交互につなげば、お互いが向き合っているように見えるというものです。
(確か「パプリカ」で分かりやすく説明してたような…)
「あなたの目になりたい」では、このイマジナリーラインという教科書的メソッドをあえて逸脱しており、彼がただ社会の風俗を写すだけでなく、当時の最先端を行く編集を行っていたのです。


「おろち」に帰ると、たとえば、姉妹が殴りあって(動)、その末に妹が姉に“呪われた血”の入れ替えを説得する(静寂)するという、動から静へのシーンがあるわけですが、ここで二人がお互いに向き合って殴り殴られている様子が横から映されています。
右が妹、左が姉です(たしか)。
そこからポン寄り(引きからショットを跨いで寄る)するのですが、間反対なんですね、右が姉、左が妹。
それによって動と静への物語的繋がりを保ちつつ、同時にエモーションは断ち切るみごとなシーンになっておるのですね、きっと。
作り手の細心な丁寧さがおもしろさを生み出している一例でしょう。



ちなみに去年、フォー○ムでファンタスティックなんちゃらと題してホラー祭りやっとったんですな。
「アコークロー」とか「伝染歌」とかやってたっけ?
そんときとにかく「ドリーム・クルーズ」やれって主張したんだけどね。
だって2007年のホラー祭りでコレを入れないなんて、なんちゃってじゃねーかと。

結果的にはやっぱり実はコダワリのないフォ○ラムっぷりを露呈してしまったわけですが…
(って、また、こんな毒吐いて)





「あなたの目になりたい」って確かに明と暗の演出がすばらしいのだけど、どうしてもあの顔像が布で捲られたり、露になったりがずっと頭に残るんですよね。
顔にショッキングに傷ついてして、ありゃ、もしかして透明人間かオペラ座の怪人かなんかじゃねーかと思うくらい気になる。

スポンサーサイト

« 彼の親玉に会いに | HOME |  プライベートレポート »

コメント

コメントの投稿

 
管理者にだけ表示

トラックバック

トラックバックURL

http://homewardbound.blog108.fc2.com/tb.php/98-88803cab

⇒ この記事に対してトラックバックを送信する(FC2ブログユーザー)

 | HOME | 

Category

Recent Articles

Recent Comments

Recent Trackback

Profile

とりこ

auther:とりこ

心新たに…

しかし相変わらずトンデモで。

Monthly

Search

Link

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。